サンガの建設108
「なまこ博士・本川達雄氏に聞く」②
私は、昨今の理科離れをどうやって止めようかと色々議論されている文科省の委員会に参加していました。
そこでは子ども達に、ピカピカの機械に触らせ、教室にインターネットをつなげて、理科の大切さ、面白さ、すごさをアピールしようという趣旨の話ばかりでした。
そうではなくて「理科は正しくて、心の安心を得られると宣伝しよう」と意見しました。
しかし現実は次々と新しい製品を作って売らねばなりませんし、他者を出し抜く競争理念に偏っていて、休まる暇もありません。
そのような理科に正しさや心の安心はありません。それでも私は科学に正しさを求めたいのです。
現代社会はすべての営為(えいい)が人間の欲望を満たすためのものという気がしているので、常に科学を批判的に見る努力をしています。
だからといって自分だけ清く正しくして、税金で養ってもらおうとは思っていません。
覚悟としては、労ばかり多くて儲からないことや、つまらないことであっても、汗を流していく必要があると思っています。
ですから私のスローガンは、「清く・正しく・貧しく・美しく」です。
「貧しく」を入れておけば、人生、大きな間違いはないと思っています。
原則として、みんながやっていることや、やりたがることはしないことにしています。
その点ナマコは誰もやりたがりませんし、儲かりません。
でもナマコは世界中にいるのです。
すごくないですか。
以上、私(本川氏)が何故ナマコを研究しているのかを述べてきました。
濁(にご)り多き世の中で、自分自身を見失わない為に「正しさと安心」を考えていくことの大切さを教えて頂きました。
本川達雄(1948生)=東京工業大学名誉教授(生物学)