サンガの建設107
「なまこ博士・本川達雄氏に聞く」①
私は小さい頃から、儲かるとか偉くなるとかでなく、正しいことをやって身を立てたいと思っていました。
正しい方向に歩いているという事は、正しいものと共に歩いているという安心感を得られるし、やましくなく生きていけると思って来ました。
だから学問の道を選びました。
しかし社会に役立つ学問は応用の学問なので儲かってしまいます。
そしてその裏には、自分にも大いに役立つという思惑が透けて見えるようで不純な感じがしてやりたくなかったです。
正しいことが第一で、「好き・役立つ・儲かる」などは二の次で、どちらかと言えば「嫌いなもの・役に立たないもの・儲からないもの」に目を向ける方が、自分の心に誤魔化されないで安全だと思いました。
そして生物学を選び、ナマコを始めとした棘皮動物の研究をしました。
ナマコはあまり動かず、神経も発達していません。
ヒトとは全く生き方が違うので、ナマコを見ているとヒトの特徴がよく見えます。
18~20世紀、ヒトは時間に縛られ時間の奴隷になりました。
反対に生物は、時間を自分なりにコントロールしているのが分かります。
だから時間の主人になれるのです。
生物学的時間があるのです。
だからといってヒトは、自分や社会が儲からないことはしないので、ナマコの研究は誰もやりません。ナマコの研究でノーベル賞が出るわけでもありませんしね。
しかし21世紀は生物学的時間にもとづく世界観が広まらねばならないと強く感じています。
世界を見る眼が変わり、世界が違って見えてくるのです。
本川達雄(1948年)=東京工業大学名誉教授(生物学)